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インドラの網

◆映像が果てしなく繰り返す「インドラの網」
網の上に置かれた真珠は互いに反射し合って,他の真珠を映すだけでなく,
他の真珠の映る自身の姿をも映します.世界全体が真珠一つ一つの上に写り,
またその姿が別の真珠に映り,これが永遠に続くのです.
”インドラの真珠”
D.マンフォード, C.シリーズ, D.ライト, 小森洋平 (翻訳),日本評論社より

◆「アポロニウスの窓」という美しい 図形は,
互いに 接し合う3つの円に接する第4の円を描くのだが,
これを次々と繰り返して作られる円の中の世界だ.
4つの円の曲率をa,b,c,dとすると,
2(a^2+b^2+c^2+d^2)=(a+b+c+d)^2 という
デカルトの発見した定理が成り立ってい る.
⇒三角形の七不思議 (ブルーバックス), 細矢 治夫

◆美しいアポロニウスの窓を見ていると,いろいろな想いが拡がる.
それは,2つの円が互いに接し
かつそれらがアポロニウスの窓の外周円とも接しているとき.
これらの接点を通り外周円と直交する円を思い浮かべるなら,
その円を反転円として,反転円で分断された2つのアポロニウスの窓
の世界は互いに鏡像となることだ. もし反転円がどんどん小さくなれば,
その小さな領域に大きな世界がどんどん繰り込まれていくだろう.
不思議なフラクタル世界 の美しさが見られる.
写真: 緑色の円の外にあるピンクと黄色の円を,緑色の円で反転すると,緑色の円内のピンクと黄色の円に写せます.写されたこれらの大きさはその上のグレーの円と同じ大きさです.色々な反転円を考えれば,無限にある大小さまざまな大きさの円はみんな同じ大きさで,円盤内の世界は無限に広いと言い張るのも良いでしょう.
Fig. Cinderellaというソフトを用いて描きました.
緑色の円(想像した反転円)の外にあるピンクと黄色の円を,
緑色の円で反転すると,緑色の円内のピンクと黄色の円に映せます.
映されたこれらの円の大きさは,その上のグレーの円と同じ大きさです.
色々な反転円を考えれば,無限にある大小さまざまな大きさの円は,
みんな同じ大きさでもあります.
だから,円盤内の世界は無限に広いと言い張ることも良いでしょう.

◆円による反転操作
円が直線なら,普通の鏡映像になります.直線鏡の組み合わせで作られる
映像は万華鏡です.反転円を用いたインドラの網も万華鏡の映像です.
■編集後記
仏教では,「宇宙における一切のものが,一切のものに対して原因になっている.無限の過去からの無数に多くの原因が,どの一人にもそれぞれ反映されている」と考えます.これはまさに単純な因果列ではなく複雑系の考え方ですね.
宮澤賢治に「インドラの網」という小品があります.
インドラの網目に縫い付けられた珠玉は,互いに映じ合って輝く同時に,自分自身も輝いています.

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