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数学ソフトウエアの進化が著しい

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数学月間SGK通信 [2016.12.13] No.145
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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Mathematicaという数学,情報処理ソフトウエアがあります.価格は高いが定評のある大変優れたソフトウエアです.
ウルフラムWolfram reseach Inc.がコンファレンスを東京で開催(12月12日)しましたので参加して来ました.
Mathematicaは,今年の8月にversion11がリリースされました.
mathematicaは,version8まではいわゆる数式処理のソフトウエアでしたが,
version9あたりからAI(人工知能)のようなソフトウエアに変貌しています.
このソフトの創始者で最高経営責任者のstephen Wolframは,世界中のあらゆるデータを計算し尽くすと豪語しています.
wolfram alphaというウエブサイトhttps://www.wolframalpha.com/をご覧になったことがありますか?
ここのinput boxにどんなことを書き込んでも,AIがそれを理解し適切な答えを返してくるのです.
もし,数式や方程式を書けば,それを解いたりグラフで可視化表示したりします.これくらいは驚きませんね.
しかし,入力するものが数式でなくて,imageや音声ファイルや,地図や,キ-ワードや,その他なんでも,
コンピュータが解釈し答えを返してきます.ただし,無料のウエブサービスですから,
計算時間に制限があり時間切れを知らせてくることはあります.AI技術の進歩には驚くばかりです.
測定した色々な生データを入れると,何も知らなくても論文ができて出て来るという時代が到来
しているというと一寸大げさですが,そのような感があります.
■数学の教育にMathematicaを用いる動きもあります.研究や大学の授業では用いていますが,
高校の数1から数3までの教程があるそうです.計算はコンピュータにやらせるわけですから,
パラメータを色々変えて傾向をみたり,不動点を発見したりなどの面白い教育的な使い方があるでしょう.
しかし,私たちが高校時代に味わった,因数分解がうまく行ったときの喜びや,
補助線一本を発見して幾何が解けたときの喜びはもうないでしょうね.
基礎理論を知らなくてもうまく行ってしまうのにも不安を感じます.
コンピュータがないと簡単な積分もできないということにならないように.
そして,数式処理の大変高度な能力が手に入りますからこれをうまく利用しましょう.
美しいグラフィックは理解を助けるし,出力を3Dプリンターにつなぎ,3次元の物体として出すこともできる時代です.
■AIは,多層のニューラルネットワークの学習機能を持っていてトレイニング(教師付き)させると,
データの識別(それが特定できる確率が示される)や診断結果のクラス分けができます.
データから傾向の予測をしたりもします.
■東京慈恵会医科大学の関根宏氏は,ビッグバンモデルに基づき増殖する腫瘍に対する放射線治療の話をしました.
がんというのは自律的な増殖と転移をするものだそうです.がんに放射線を照射するとがん細胞が減っていきます.
臨床例はがん細胞にガンマ線照射を60Gy/30回/6週などです.何回に分けてどのくらいの期間に照射すると効果的か,
照射の仕方と再発の有無をGLQモデル(照射パラメータ2つがあり,照射で指数関数的にがん細胞が減るモデル)により,
シミュレーションしている.ただし,最近の研究ではがん幹細胞があり,
ここを攻撃しないとがん細胞は死なないという説があるそうだ.