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相律と幾何学の類似性

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数学月間SGK通信 [2016.09.20] No.132
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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突然ですが,化学にGibbsの相律というものがあります.
物質の系(閉じた)を考えます.この系はc個の成分からなりたっています.
例えば,水とアルコールの混合した系なら,成分数は2です.
各成分の状態の数(相の数)をpとします.水とアルコールの混合系の場合は,
それぞれの成分ごとに,気体,液体,の2つの相(場合によっては固体を入れて3つ)があります.

成分数cの系で独立(に変化できる)変数の数はc-1個で,
それぞれにp個の相があるから,(c-1)pの変数があるが,
これ全部が独立なものではありません.
p個の相の間には,p-1個の平衡条件があります.
したがってc(p-1)個の束縛条件が課せられます.
結局,系の自由度fは
f=(c-1)p-c(p-1)+2
第3項に加えた2は,系全体の温度と圧力の2つの独立変数です.
これを計算整理すると
f=c-p+2 ,あるいは f+p-c=2  となります.

何処かで見たことがありませんか.そう,オイラーの多面体定理V+F-E=2
を思わせます.今日,唐突に化学の相律の話をしたのは
この類似性を不思議と感じた十数年前のことが蘇ったからです.
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相律   f-2=c-p
オイラー F-2=E-V (FとVを入れ替えたものは互いに双対なので同じ)
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このように並べて,両者の類似性を見ていると,
幾何学的な本質に関係があるような気がしてならないのです.
これは,偶然の一致だと言ってしまえばそれまでです.
それが正しいようでもあります.私も昔,そう結論を下しました.
しかし,まだ考えつかないことがあるような気がしてなりません.
皆さん何か良いアイデアは無いでしょうか?

■考えがまとまりませんので,3成分系の具体例をたたき台に示します.
石英SiO2,橄欖石2MgOSiO2,灰長石CaOAl2O32SiO2の系を例にします.
各成分に,固体,液体の2相があります.今,圧力一定の切り口を考えるとf-1=c-pです.
3成分+液の4相が共存するなら,自由度 f=0
3相が共存するなら f=1(線上を動く)
2相が共存するなら f=2(面上を動く)

融液を冷やしていくと,1,360~1,280℃で,橄欖石の晶出と液組成の変化
(橄欖石+液の共存)すなわちここではf=2.
1,280~1,260℃で,灰長石の晶出と液組成の変化
(橄欖石+灰長石+液の共存),すなわちここではf=1.