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理科・実験 パイレックスガラス★

シリカガラスSiO2の軟化点は1700°Cと高温です.ガラスには明確な融点はありません.初めから乱れた構造ですから液体状態の個体ともいわれます.固体での変形が起こるのは軟化点~1900°Cあたりまでで,それ以上の温度では液体になります.シリカの正4面体ネットワーク中の所々にCaイオンやNaイオンが入ったものが,ソーダーライムガラス(青板ガラスとも呼ばれる)で,ガラスの融点も軟化点も下がり成型が容易になります.しかし,Naの熱振動振幅は大きく,ガラスの熱膨張率は大きくなります.ホウケイ酸ガラスは,ホウ素Bを添加したガラスで,ナトリウムNaの量を減らせるので,熱膨張率を小さくできます.これがpyrexパイレックスガラス(Corningの商標)で軟化点は820℃位で,Nonexという非膨張ガラスの処方も開発されました.パイレックスガラスは,キッチンのベーキング皿にも,温度計にも,ビーカーなど理化学機器にも,1949年に完成したパロマーのヘール望遠鏡の巨大鏡(回転放物面)にも使われています.この巨大鏡はパイレックスガラスの直径5mのガラスのキャストディスクで20トンもあります.この巨大なガラスのキャストディスクの製造では,アニーリング・オーブンに入れて10か月もかけて徐冷したそうです.これを現場に運び凹面(回転放物面)に研磨しました.
しかし,2008年3月14日に パイレックス・ロール板が生産中止をコーニング社は決めました.パイレックスと言えば耐熱ガラスの代名詞で,理化学機器にも使われていますが,望遠鏡用の 大きなガラスも作らなくなりました.どうなることか心配です.コーニング社の製品は,スマートフォン用のGorillaGlassというカバーガラスやエレクトロニクス用の薄い強化ガラスにシフトしたようです.

コーニングガラス博物館は面白そうです.

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