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2019年6月の記事一覧

米国の数学サークル活動

Fairfax Math Circle(FMC)は,探求と問題解決に焦点を当てた数学を豊かにするプログラムです.やる気のある学生に,数学への理解を深める機会を提供することを目的とします.数学とは何か,数学者になるとは何か,ということの生徒の認識を広げようとしています.
より深く数学と遊べる道具と,新規なやりがいの探求に快適な環境を学生に提供します.FMCは,伝統的な学校カリキュラムでは扱わないような数学概念に彼らをさらすように努めています.FMCがやるのは,補修,テスト準備,競技の数学ではありません.非標準のトピックスや,伝統的なトピックスでもさまざまな観点から深く見ていきます.学生は多くのことを学び,あらゆる種類の数学の意欲的で効率的な学習者になりますが,標準的な数学カリキュラムを加速するわけではありません.

サークルのリーダーは通常プロの数学者(大学教授または大学院生)で,家族のボランティアも受け入れます.
6-12年生のDCメトロエリアに住んでいるすべて意欲のある生徒は資格があり,2つのグループがあります:
グループπ:代数1を修了した中学生のためのもの
グループe:代数2を修了した高校生のためのもの
すべてのセッションは George Mason大学で行われます.会費は家族1人あたり100ドル.2018/19学年度は、秋に9回、春に9回、合計18回のセッションがあります(日曜日に実施されるらしい).
http://www.fairfax-mathcircle.org/

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オイラーの定理とコーヒーカップ

3Blue1Brownのyoutube動画をご覧ください.

コーヒーカップの表面に,3つの家と3つのソース(ガス,電気,水)があり,
パイプラインが交差しないように,3つのソースと3つの家を繋ぎます.
いくら頑張っても交差箇所が1つできてしまいます.

 

 

 頂点の数V,辺の数E,面の数Fとすると,V-E+F=2 がオイラーの多面体定理ですが,
図のように面(領域)の数は4つ(黒い地の部分も1つと数えます)で,
6-8+4=2とオイラーの定理が成立しています.
3つの家はそれぞれ3つのソースに結ばれるわけですから,辺(パイプライン)の数は9本ありますが,頂点6と面の数4ですから,最後のパイプラインはどうしても繋げません.

さてここで,コーヒーカップで実験をしている理由がわかります.
コーヒーカップの取っ手の部分をうまく使うのです.取っ手の中を通り抜けるパイプラインと取っ手の上を這わせるパイプラインで立体交差になります.

コーヒーカップは,穴が1つある浮袋のような位相表面です.先のオイラーの多面体定理は穴のない位相表面に対する表現なので,穴の開いている位相表面では定理が少し変わります.
注)トーラスでは,面の数が2つ減り,頂点の数が3つ減り,辺の数が3つ減るので,V-E+F=0 が成り立ちます)

このような教育グッズがたくさんあり提供されるようすが,国民数学祭NMFのサイトで見ることができます.

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÷と×の演算の順序

60÷5(7-5)=?
この答えは24ですか6ですか
60÷5x2=?と聞かれれば,24と迷わず答えられる人が,なぜ6と答えたくなるのでしょうか.これは5と()の間にxが書かれていないことが心理的に影響すると思います.
5(7-5)は文字式のような錯覚に陥り,ひとまとめにして数値を出したくなります.
÷とxの演算が並んだ式は,前から順番に演算するのが決まりです.

割り算を使わず掛け算だけで書き直すこともできます.例えば,

60÷5x2=60x(1/5)x2 のようにです.

60÷5(7-5)=を,分数で書いてみましょう.しかし,

5だけが分母に来るのか,5(7-5)が分母に来るのか不明確です.
(60/5)(7-5)のことなのか,60/(5(7-5))のことなのか,かっこを1組追加すれば明確になります.

逆ポーランド式に,二項に対する演算の繰り返しとして計算手順のグラフを書くと,
解釈の異なるそれぞれの計算手順は以下のようになります.

 

 

 

 

 

 

 

■さて,文字式の場合は係数と文字の間のx記号は省略されるのが普通です.

9a2÷3a=の答えは,3a か,3a3 のどちらが正しいのでしょうか?

雰囲気的には3aですが,式の機械的な記述は曖昧です.

このような曖昧さを避けるために,()を用いて明確にすべきです.

9a2÷(3a)=3a あるいは,(9a2÷3)a=3a3 のようにはっきりさせましょう.

 

●以下のコメントが読者より寄せられました.この問題はなかなか面白いですね.
 ここに掲載させていただきます.

理学系では『省略演算の優先』を意識している傾向がいくつか見られます。たとえば化学業界では省略演算は優先することが国際的なルールとして明記されていて、先の計算は6と答えなければならないように定められているそうです。
また、物理学のフィジカルレビュー誌の投稿規定にも同様な省略演算の優先が書かれているということですので、こちらも6と答えることが義務付けられていることになります。
算数の世界では、帯分数の計算部分に同様な様子が見られます。{以下テキストの都合上帯分数には()をつけ、整数部分と分数部分の間に『と』を挟みますが、実際には無いものと思ってください}
(2と1/3)×3 は,2+1/3×3 なら,+より×優先なので =2+1=3 と計算するはずですが、
実際には省略演算である+を先に行い、7/3×3=7 と計算します。
ところで、マセマティカで計算すると、メルマガの計算は24が出力されるようです。ソフトのいくつかは24を出力すると聞いています。
以下は想像です。
理学系では古くから省略演算を優先する感覚があったため、そのようなルールが少なくとも上記の物理化学ではルールとして明記された。数学はともかく算数でもそのように教えている部分がある。
一方で後発の計算機業界ですが、こちらはそもそも昔は省略演算は文法違反でエラー扱いでした。それがハードが強力になり対応可能となった時に、理学系の慣習など頭になく、ただ省略演算を補うだけだったために、結果24と計算するソフトが多いのではないかと。実際、カシオの関数電卓では、古い機種では24を答えに出し、新しい機種で6を出力するケースを確認しています。おそらく化学業界あたりから苦情が来てユーザーニーズに合わせたのではないでしょうか?
数学では化学業界と違って国際組織が演算順序をルールとして明記するなんて多分やってないと思います。×が+に優先するなことすら学会による明文化はなく慣習によるものだと思われます。明文化されない以上慣習として定着するまではどちらが正しいとは言い切らないのが無難に思います。ただ、化学業界のルールでも但し書きとして、『ただし、誤解を招かないよう括弧を十分に補うことを推奨する』とあるそうですから、メルマガの式は
(60÷5)(7-5) なり、60÷(5(7-5)) なりにするのが大人の対応ということになりそうです。

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米国の2019数学祭り

数学月間SGK通信 [2019.06.04] No.269
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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2019年の国民数学祭(National Math Festival)は,5月4日(日曜日)に
ワシントンDCと40州の科学博物館で実施されました.
数学のなかを旅し,発見し,ゲームをし,コミュニティのなかで数学の無限の力と喜びを祝いました.
数理科学研究所(MSRI),および高等研究所(IAS)と国立数学博物館(MoMath)の共同研究者は,
この日の素晴らしい成功をもたらした皆様の支援と貢献に感謝します.
ソーシャルメディアであなたの写真を私たちと共有してくださいとのメッセージがあります.
楽しい数月祭りの様子の多くの写真が公開され,雰囲気を知ることができます.
ワシントンDCと各地の科学博物館に,あらゆる年齢の2万人の数学愛好者を惹きつけたものは何でしょうか.

数学の月曜日(Math Monday)という動きがあります.以下にその特徴を述べます.
■楽しい: 子供たちに数学を楽しんでもらいたいので,自分の遊びたいものを選びます.
■無料:ゲーム費用を除いて,始めるのに何もかかりません.
■簡単:始めるのに少数の人々ででき,運営は週に数時間です.
■ボランティアが運営:両親を含み,教師には負担をかけません.
■すべての子供が対象:すでに数学を楽しんでいる数学の弱者だけでなく,すべての能力の子供たちのために.
■ソーシャル:私たちのゲームは子供たちが一緒に遊んで学ぶことを奨励しています.
■毎週(数学月曜日):数学サークルのような毎月のイベントを補完します.

数学の月曜日(MathMonday)をあなたの学校や家庭で始めましょうと呼びかけています.
数学の月曜日はとても良いことで,これは日本の小学校のカリキュラムと全く逆の動きです.
数学の月曜日のやり方は:
- 時間と場所を決めましょう.学生が誰でも来れるような多目的室や図書館のような広い公共スペースで,
昼食時に毎週実施することをお勧めします.
- 保護者のボランティアを参加させ,校長,学校,PTAの支援を受けます.
数学の月曜日で使える無料で提供できるいろいろなゲームがあります.
例えば,
1. ブロックス(プレーヤー4人)
テトリスのようなピースをボードに置き,領土を主張します.
空間的思考力を養います.
2. セット(プレーヤー2~6人)
色,形,数,模様を見て,セットを構成する3枚のカードを見つけます.
3. プライムクライム(プレーヤー2~4人)
素数の加算,掛け算,をし,1から101までピースを進めます.
4. ラッシュアワー
赤い車がでられるように混雑した敷地内で車を滑らせてグリッドロックを脱出.

■数学パズルは,論理,空間思考,計算技術を開発します.
次の問題に挑戦してください:
各式の4つの空所に,すべて1,2,4,7という数を入れて,式が成立するようにしてください.
□+□+□=□
□+□+1=□□
□□+□□=59
□□+14=□□
5□+□□=□5

 

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