2017年3月の記事一覧

アポロニウスの窓1a

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数学月間SGK通信 [2017.03.26] No.160a
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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本日配信した160号の図が2つとも開かないようです.失礼しました.
本文の部分だけ,再度発行いたします.本文はこちらをご覧ください.
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このグラスのデザインは,こちら側の模様の円が凹レンズとして働き,
向こう側の模様の円を円内に縮小して映し出すので,アポロニウスの窓を思わせます.
(リュミナルク製グラス)
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/566714/34/17969934/img_0_m?1490653362

■アポロニウスの窓(円の中に円を詰め込んだフラクタル)
アポロニウス(ユークリッドと並ぶ紀元前3世紀のギリシャの幾何学者)は,
3つの互いに接する円があるとき,これらの3つの円に接する円が2つ存在することを発見しました.
互いに接する3つの円(そのうちの1つが,他の2円を内部に含む外周円の場合もある)に,
接するような円の作図を繰り返して,外周円の中に円を詰め込みフラクタル構造ができます.
これをアポロニウスの窓といいます.
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/566714/34/17969934/img_1_m?1490653362

■インドラの真珠とアポロニウスの窓
仏教では,「宇宙のすべてのものが,それぞれのものの原因になっていて,
どの一人にも,無限の過去からの無数の原因が反映されている」と考えます.
これはまさに複雑系の考え方です.
宮澤賢治の小品「インドラの網」は,宇宙に張りめぐらされたインドラの網目に置かれた珠玉が,
互いに映じ合い,かつ,自分自身も輝いているさまです.
インドラの網に置かれた真珠が互いに映じ合う光景を思い浮かべましょう.
自分自身に映り込む他の真珠の映像には,もちろん自分自身も映り込み,
さらにその自分の映像中にも世界全体が.....
球の中に球を詰め込みできる美しいフラクタル図形が,”インドラの真珠”(注)です.
この美しい図形は2次元では,「アポロニウスの窓」とも呼ばれます.
(注)”インドラの真珠”,D.マンフォード, C.シリーズ, D.ライト, 小森洋平 (翻訳),日本評論社

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アポロニウスの窓1

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数学月間SGK通信 [2017.03.28] No.160
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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もうすぐ桜の花見ですね.こちらでは,だいぶ咲いているようですが,ときどき寒い日が戻ってきます.
どうぞお体にお気をつけください.
私の所の固定電話は,RDDの世論調査のためにあるようなもの(実際にかかって来たことはない),
あとは,オレオレ詐欺(これもかかって来たことはない)と宣伝が来るだけなので,
高額な光回線とともに本日廃止をしました.
実際に使っているのは,携帯とWiMAXです.
昨年の,数学月間懇話会では世論調査を取り上げましたが,固定電話だけから抽出するRDD方式では
サンプルの偏りが生じるのは当然でしょう.安倍内閣の驚くべき支持率の高さも現実とはかけ離れているようです.
■はじめに,お知らせですーーーーー
数学と社会の架け橋=数学月間(7/22~8/22)
数学月間懇話会は,毎年数学月間の初日7/22に実施しています.
ことしの7/22は,土曜日です.7/22が土曜日になる確率は1/7です.
365/7(mod7)=1ですから,毎年,曜日は1つづつずれます(去年は金曜日でした).
(注)ただし,うるう年は考慮していません.
ことしは,幸運にも土曜日になりました(来年は,日曜日).
例年ならお仕事などで参加できない方もどうぞお出かけ下さい.
ーーーーーー記ーーーーー
数学月間懇話会(第13回)
7月22日(土),13:50-17:20,開場:13;30
東京大学(駒場),数理科学研究科棟002号室
参加費無料,直接会場にお出で下さい.
プログラム
1.視聴率調査の実際,森本栄一(ビデオリサーチ)
2.ブラックホールを見る,池田思朗(統数研)
3.星型正多面体の体積比較(模型も作るよ!),小梁修(osa工房)
(演題は仮題です)
17:30から,学内のイタリアントマトで懇親会をします(飲食は各人払い)
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■これから,アポロニウスの窓(あるいは,インドラの真珠)について,3回に分けて取り上げようと思っています.
このグラスのデザインは,こちら側の模様の円が凹レンズとして働き,
向こう側の模様の円を円内に縮小して映し出すので,アポロニウスの窓を思わせます.
(リュミナルク製グラス)
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/34/17969934/img_0_m?1490618044

■アポロニウスの窓(円の中に円を詰め込んだフラクタル)
アポロニウス(ユークリッドと並ぶ紀元前3世紀のギリシャの幾何学者)は,
3つの互いに接する円があるとき,これらの3つの円に接する円が2つ存在することを発見しました.
互いに接する3つの円(そのうちの1つが,他の2円を内部に含む外周円の場合もある)に,
接するような円の作図を繰り返して,外周円の中に円を詰め込みフラクタル構造ができます.
これをアポロニウスの窓といいます.
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/34/17969934/img_1_m?1490618044

■インドラの真珠とアポロニウスの窓
仏教では,「宇宙のすべてのものが,それぞれのものの原因になっていて,どの一人にも,
無限の過去からの無数の原因が反映されている」と考えます.これはまさに複雑系の考え方です.
宮澤賢治の小品「インドラの網」は,宇宙に張りめぐらされたインドラの網目に置かれた珠玉が,
互いに映じ合い,かつ,自分自身も輝いているさまです.
インドラの網に置かれた真珠が互いに映じ合う光景を想像ください.
自分自身に映り込む他の真珠の映像には,もちろん自分自身も映り込み,さらにその自分の映像中にも世界全体が.....
「球の中に球を詰め込む」とできる美しいフラクタル図形が,”インドラの真珠”(注)です.
この美しい図形は2次元では,「アポロニウスの窓」とも呼ばれます.
(注)”インドラの真珠”,D.マンフォード, C.シリーズ, D.ライト, 小森洋平 (翻訳),日本評論社

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星型小12面体(ケプラーの星型)

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数学月間SGK通信 [2017.03.21] No.159
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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ダ・ビンチの星型のうち,星型小12面体の話をしました.
これは,庭園美術館,朝香宮邸,姫宮の部屋の照明に使われている星型です.

もうすこし詳しく星型について,取り上げます.
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/566714/02/17957102/img_0_m?1489885670
左の図は五芒星で星型多角形,右の図は正5角形で凸多角形です.
左の星型は5/2角形,右の正多角形は5角形と記されますが何故でしょうか.

頂点Aから出発して,五芒星の辺をたどるとA→C→E→B→D→A,
星型が閉じるまでに,辺の向きが2回転します.
つまり五芒星では,1つの頂点での辺の向きの回転角は,2×360°/5 です.
比較のために,正五角形の場合は,1つの頂点で360°/5だけ回転することを思い出しましょう.
この星型多角形を5/2と書くのは,2x360°/5=360°/(5/2)だからです.

http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/566714/02/17957102/img_1_m?1489885670
この星型多角形が頂点で5つづつ集まる{5/2,5}は,星型小12面体になります.
この星型は正12面体をコア(芯)にして,各正5角形の面の上に正5角錐が乗った形です.
星型の頂点は12個あり,正12面体の面に対応しますから,12個の頂点を結んでできる正多面体は
正12面体に双対な正20面体です.

■さて,この星型小12面体{5/2,5}は,プラトンの正多面体(正12面体)を芯にして,
その正5角形の面に正5角錐を貼りつけた形でした.
同様に,プラトンの正多面体(正20面体:正12面体に双対)を芯にして,
その正3角形の面に正3角錘(正4面体)を貼り付けてできる形は,星型大12面体{5/2,3}と呼ばれます.
これら2つの星型は,ケプラーの星型多面体とも呼ばれます.
序に,この2つの星型に双対な,{5,5/2},{3,5/2}はポアソンの星型と呼ばれます.

■星型小12面体は,五芒星の面Fが12枚,稜の数Eが30,頂点の数Vが12ですので,
F-E+V=-6(我々の知っているオイラーの多面体定理では2となるべき)となります.
これは星型小12面体の空間が,球の位相と異なり,穴が4つ空いた浮袋と同じ位相であるためです.

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星型小12面体

■星型正5角形の頂点Aから始めて,A→C→E→B→D→Aと辺をたどり元に戻ると,1つの頂点で2×360°/5だけ辺が回転することがわかります.
この星型5角形を5/2と書くのは,2x360°/5=360°/(5/2)だからです.
この星型5角形が頂点で5つづつ集まる{5/2,5}は,星型小12面体になります.


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■さて,この星型小12面体{5/2,5}は,プラトンの正多面体(正12面体)を芯にして,その正5角形の面に正5角錐を貼りつけた形です.
同様に,プラトンの正多面体(正20面体:正12面体に双対)を芯にして,その正3角形の面に正3角錘(正4面体)を貼り付けてできる形は,星型大12面体{5/2,3}と呼ばれます.これら2つの星型は,ケプラーの星型多面体とも呼ばれます.
序に,この2つの星型に双対な,{5,5/2},{3,5/2}はポアソンの星型と呼ばれます.
■星型小12面体は,五芒星の面Fが12枚,稜の数Eが30,頂点の数Vが12ですので,
F-E+V=-6(我々の知っているオイラーの多面体定理では2)となります.これは星型小12面体の空間が,球の位相と異なり,穴が4つ空いた浮輪と同じ位相であるためです.

➡星型正多面体

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マンデルブロ集合について

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数学月間SGK通信 [2017.03.14] No.158
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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マンデルブロ(仏の数学者)は,「フラクタル」という概念の創始者(1975)です.
私たちは,ニュートンの微積分の発明以来,至る所で接線の引ける曲線を扱っていました.
フラクタル曲線というのは,これらと全く異なる曲線で,以下の性質があります.
・曲線のどんな小さな部分を拡大しても,自分全体と同じ形が現れる曲線.
・至る所ギザギザで接線が引けない曲線.

■マンデルブロ集合というのは,ちょっと変わったフラクタルです.
複素平面上で,次の漸化式を定義します.
Z(n+1)={Z(n)}^2+c, Z(0)=0
Z(n)やcは複素数で,cは定数,Z(0)は初期値といいます.

複素平面上の点cに対して,数列 Z(0),Z(1),Z(2),・・・・,Z(n),・・・ を計算していきます.
n→∞ のとき,|Z(n)|→∞ にならない(発散しない)ような
複素数cの全体が作る集合(図の黒い部分)が,マンデルブロ集合です.
面白い形をしていますが,拡大しても拡大しても(解像度を上げても)同じ構造が見えるフラクタル性があります.
(注)ある定数cに対して,数列が発散しない初期値Z(0)の集合を充填ジュリア集合といいます.
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568618/22/17112522/img_1_m?1487235969

発散しないということは,有限な値に収束するか,有限な範囲に振動するかです.
例えば,c=-1とすると,Z(0)=0,Z(1)=-1,Z(2)=0,Z(3)=-1,・・・・は振動です.
c=-1+iとすると,Z(0)=0,Z(1)=-1+i,Z(2)=-1-i,Z(3)=-1+3i,Z(4)=-9-5i,・・・・,これは発散です.
発散しなかったc=-1はマンデルブロ集合に入り,発散したc=-1+iはマンデルブロ集合に入りません.
このようにして複素平面を塗り分けて,奇妙な形のマンデルブロ集合が出来上がります.

しかしながら,この判別が難しい,始めのうちは有限に見えたものが,nが大きくなると発散するかもしれません.
しかし,際限なく計算するわけにはいきません.現実的な判定は近似j的で,例えば,n=200まで計算して,
ある閾値を越えなければ,発散しないと判定するわけです.
そして,マンデルブロ集合(黒い部分)の協会部分は発散するのですが,
発散のスピードにより着色してみます.抽象芸術のような不思議なパターンをご覧になったことがあるでしょう.
これは,c のわずかな差により,運命が劇的に変わるカオスと秩序が入り混じってフラクタルになっている世界です.
http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/568618/22/17112522/img_0_m?1487235969

マンデルブロ集合をネット上でonlineで描かせるサイトが色々あります.
例えば,http://mandelbrot.ovh.org/ などを使ってみると面白いと思います.

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マンデルブロ集合★7

(注)ここで載せた参照リンク先は,現在なくなっています.マンデルブロ集合の描画は,例えば, http://e-mandelbrot.com/ などで試すことができます.

マンデルブロ(仏の数学者)は,「フラクタル」という概念の創始者(1975)です.私たちは,ニュートンの微積分の発明以来,至る所で接線の引ける曲線を扱っていました.フラクタル曲線というのは,これらと全く異なる曲線で,以下の性質があります.
・曲線のどんな小さな部分を拡大しても,自分全体と同じ形が現れる曲線.
・至る所ギザギザで接線が引けない曲線.

■マンデルブロ集合というのは,ちょっと変わったフラクタルです.
複素平面上で,次の漸化式で定義される数列を考えます.
Z(n+1)={Z(n)}^2+c, Z(0)=0
Z(n)やcは複素数で,cは定数,Z(0)は初期値といいます.

複素平面上の点cに対して,数列 Z(0),Z(1),Z(2),・・・・,Z(n),・・・ を計算していきます.n→∞ のとき,|Z(n)|→∞ にならない(発散しない)数列が作れる複素数cの全体が作る集合(図の黒い部分)が,マンデルブロ集合です.
面白い形をしていますが,拡大しても拡大しても(解像度を上げても)同じ構造が見えるフラクタル性があります.
(注)ある定数cに対して,数列が発散しない初期値Z(0)の集合を充填ジュリア集合といいます.
http://mandelbrot.ovh.org/image.php?antialias=on&func=1&a=4&x1=-2&point=on&y1=1&x2=1&y2=-1&repeats=100&xZ0=0&yZ0=0&r=2&gen=1

 

 

 

 


発散しないということは,有限な値に収束するか,有限な範囲に振動するかです.
例えば,c=-1とすると,Z(0)=0,Z(1)=-1,Z(2)=0,Z(3)=-1,・・・・と数列は振動します.c=-1+iとすると,Z(0)=0,Z(1)=-1+i,Z(2)=-1-i,Z(3)=-1+3i,Z(4)=-9-5i,・・・・,この数列は発散です.発散しなかったc=-1はマンデルブロ集合に入り,発散したc=-1+iはマンデルブロ集合に入りません.このようにして複素平面を塗り分けて,奇妙な形のマンデルブロ集合が出来上がります.

しかしながら,実際はこの判別が難しい.始めのうちは有限に見えたものが,nが大きくなると突然発散するかもしれません.現実には際限なく計算するわけにはいきませんので,判定は近似j的で,例えば,n=200まで計算して,ある閾値を越えなければ,発散しないと判定するわけです.
そして,マンデルブロ集合(黒い部分)の境界外は発散するのですが,発散のスピードにより着色しています.このような抽象芸術のような不思議なパターンをご覧になったことがあるでしょう.これは,c のわずかな差により,運命が劇的に変わるカオスと秩序が入り混じってフラクタルになっている世界です.
http://mandelbrot.ovh.org/image.php?antialias=1&func=1&a=4&x1=-1.15625&y1=0.25&x2=-0.40625&y2=-0.25&repeats=100&xZ0=0&yZ0=0&r=2&gen=1


 

 

 

マンデルブロ集合をネット上でonlineで描かせるサイトが色々あります.
例えば,http://mandelbrot.ovh.org/ などを使ってみると面白いと思います.

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ダ・ビンチの星型・続き

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数学月間SGK通信 [2017.03.07] No.157
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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桜もずいぶん早く咲いているのを見かけますね.皆様のところでは如何でしょうか.
今回もダ・ビンチの星型を取り上げますが,「星型小12面体」とも呼ばれる形を見てみましょう.
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http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/10/17940010/img_0_m?1488810835
シュレフリの記号で書くと{5/2,5}です.
(注)シュレフリの記号{p,q}というのは,
正p角形の面が,頂点でq個集まっているような正多面体を表す記号でした.
この形は,東京都庭園美術館,朝香宮邸,姫宮の部屋の照明器具にも使われている美しい形です.
芯になるのは正5角12面体で,その12個の正5角形の面の上に,それぞれ正5角錘を取り付けた形をしています.
正5角錐の頂点は,それぞれ,正12面体の面に対応していますから,
頂点を結んでできる図形(赤の多面体)は,正12面体に双対な正20面体です.
2次元の断面を見ると,以下の左図の様な星型正多角形(ダビデの星)が見えます.
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http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/10/17940010/img_1_m?1488810835
上図の図形は,星型5角形(ダビデの星)と星型8角形(ダ・ビンチの星型)です.
それぞれの図にある赤い輪郭線(それぞれ正5角形と正8角形)は,
凸多角形(凹所のない多角形)で,赤い輪郭線の多角形内部に,黒い線分で描いた図形が星型です.
左のダビデの星を見て下さい.
星型正5角形の辺をA→B→C→・・・→Aと1周りたどると,
辺の向き(→)が2回転することがわかります.(あるいは,
「5角形の頂点を1つ飛ばしで辿って,2周して始めの頂点に戻る」
ということもできます)
このような星形を{5/2}と表記します.
(もし,1点の周りが2x360°という世界があれば,この星型は凸多角形になります)
星型8角形でも同様で,この図形は{8/3}です.

■さて,星型正多面体を見て下さい,正5角錐の頂点の周りに,星型正多角形{5/2}が,
5個集まっていることがわかるでしょう.
従って,この星型正多面体をシュレフリの記号で書くと{5/2,5}となります.

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ダ・ビンチの星型(正12面体の芯)★7

このダ・ビンチの星型は,「星型小12面体」とも呼ばれます.
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シュレーフリの記号で書くと{5/2,5}です.
(注)シュレフリの記号{p,q}というのは,正p角形の面が,頂点でq個集まっているような正多面体を表す記号でした.
この形は,東京都庭園美術館,朝香宮邸,姫宮の部屋の照明器具にも使われている美しい形です.芯になるのは正12面体で,その12個の正5角形の面の上に,それぞれ正5角錘を取り付けた形をしています.正5角錐の頂点は,それぞれ,芯となる正12面体の面に対応していますから,頂点を結んでできる図形(赤の多面体)は,正12面体に双対な正20面体です.
この星型多面体の面は,以下の左図の様な星型正多角形(五芒星)です.
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 Fig. 星型5角形(五芒星)と星型8角形(ダ・ビンチの星型)

それぞれの図の赤い輪郭線(それぞれ正5角形と正8角形)は,
凸多角形(凹所のない多角形)で,赤い凸多角形内部に星型が作図されています.

■五芒星(図左)
星型正5角形の辺をA→C→E→B→D→Aと1周りたどると,
辺の向き(→)が2回転することがわかります.あるいは,
「5角形の頂点を1つ飛ばしで辿って,2周りすると始めの頂点に戻る」
ということもできます.
このような星形を{5/2}と表記します.
(もし,1点の周りが2x360°という世界があれば,この星型は凸多角形になります)
凸多角形では,1周すると辺の向きは360°回転し,正n角形では,頂点で360°/nずつ回ります.従って,正n角形の頂角(内角)は180°-360°/nです.五芒星の頂角は36°で,正n角形の頂角が36になるのはn=5/2ですから,五芒星を{5/2}と表記するのは妥当でしょう.

星型8角形でも同様で,この図形は{8/3}です.

■さて,星型正多面体に戻りましょう.正5角錐の頂点の周りに,星型正多角形{5/2}が,5個集まっていることがわかるでしょう(例えば,頂点Aの周りに右図のような五芒星の板を5枚集める).芯に正5角形の穴の開いた五芒星の板を,各頂点で5枚ずつ組み合わせると,この立体を作ることができます.
従って,この星型正多面体をシュレーフリの記号で書くと{5/2,5}となります.
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