2016年6月の記事一覧

世論調査の予測結果をどう見るか

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数学月間SGK通信 [2016.06.28] No.121
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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選挙戦たけなわです.皆様の周りは如何でしょうか.
TVニュースはもともと政治報道は少ないのですが,選挙期間中はさらに少なく,国民を眠らせておけとばかりです.
街宣の様子や市民の反応など中継して欲しいものです.政治討論でも,
選挙後に安倍連合政権が緊急事態条項の成立を狙っていることは触れないように話題をそらしています.
私たちは,支持率や選挙結果の予測や政局は,結果ですので知ったって意味がありません.
その根拠となる政策の賛否を議論したいのです.
しかし,支持率を見せて世論を誘導するというマスコミもあるようです.
内閣支持率が高いことを知って,戦っても無駄だとやめるのですか?
支持率が低いことを見て,見捨てて大勢につくのですか?
あるいはこれらの逆で,弱い方につくのですか?
支持率結果は,市民の投票行動に複雑なフィードバックを起こします.
雪崩をうって体制につく(正のフィードバック)のと,バランスをとろうとする(負のフィードバック)の混合でしょう.
24日朝刊トップは参院選情勢調査の結果で,いずれも自民党が勝利し、公明やお維新を加えると、
改憲に必要な3分の2に届く勢いであるとのニュースです.
それほど与党が優勢でしょうか?私の感じでは,まさにデッドヒートを演じていると思います.
野党統一候補が頑張っている所をもっと報道するのが公平だと思います.
さて,各社同じような世論調査を出したわけですが,出所は日経リサーチ社のもの.
読売は,日経と同じデータを使って,同じような記事を載せました.
これは,意図的で悪質です.以下の記事をご覧ください.
http://hunter-investigate.jp/news/2016/06/-24-300.html

さて,世論調査の結果と本番の選挙結果が逆転した例が,しばしば見られるようです.
直前の世論調査の結果のフィードバック効果により,揺さぶられることもありましょう.
しかし,それはさておき,世論調査はサンプリングで集めたした小さな集合(サンプル集合)で行いますから,
ランダムサンプリングを心がけても,一方の陣営の意見が多く集まって偏ったサンプル集合ができる危険性は避けられません.
このサンプル集合が,安倍内閣の支持率が高いという,世論誘導に都合のよいものを意図的に選ぶということも起こりえます.
そのような意図的なサンプル集合でないとしても,賛否が半々(50%付近)で,拮抗している場合には,
統計学的に誤差が大きくなります.別のサンプル集合をとれば別の支持率がでます.
サンプル集合の撮り方による支持率のばらつきが標本(サンプル)誤差です.
賛否が拮抗している(50%付近のデッドヒート状態)ときは,信頼度95%(100回中95回はこの幅に収まる)で考えると,
7.1%(サンプル数200),4.1%(標サンプル600)の誤差があります.

さて,皆さんはEUに残留か離脱かの英国の選挙結果をどう思いますか.
私は英国が自分だけ離脱したことは,大変残念なことだと思います.
この国民投票前の世論調査では,どちらが過半数をとるか,さまざまな予測がありました.
ほぼ半々の予測だったわけです.
このようなデッドヒート状態の時には,予測の誤差は最も大きく,
今回のように3~4%くらいの逆転が起こっても不思議ではありません.
サンプル集合のサイズ(サンプル数)を大きくすると,この誤差は小さくなりますが
よほど大きくしなくてはならず,本番の投票のようになってしまいます.
英国の国民投票の結果は,離脱51.9%,残留48.1%(投票率72.2%)でした.

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