数学月間とは何か1

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数学月間SGK通信 [2017.12.26] No.199
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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みなさま2017も残りわずか,やらなければならないことを山と抱えて焦っています.
どうぞ風邪など召しませんように.NHK始め大手メディアの報道姿勢には腹が立つことばかり
「輝く太陽青空を再び戦火で乱すな」国際学連の歌(1949)としみじみ思います.
それにしても,この歌の翻訳は,忠実にして簡潔,実に名訳です.
チーストイネィーバ イ ヤールカエソンッエ
の意味は,清々しい空と明るい太陽,まさに,輝く太陽青空 .
ディーモンパジャロフ ザクリーチ ネェダジム の意味は,戦火の煙で閉ざしてはならぬ
ここを,再び戦火で乱すな と訳したのはうまい.
2番,3番の歌詞も素晴らしい.今こそこの歌が必要なときです.
これを共産党の歌だなどと言っているネトウヨの方,歌詞の意味をじっくり味わって欲しい.
メルマガの読者の方にはネトウヨはいないと思いますが.

お陰様で,メルマガが199になりました.来年1月2日で200号です.
メルマガの表題になった「数学月間」について語ることはほとんどなかったと思うので
この機会に(本号と次号に分けて)初心に戻って,数学月間を語ります.
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1.数学月間活動とは何か
日本の数学月間は,片瀬豊の提案で2005年に日本数学協会が7/22-8/22を数学月間と定めたことに始まります.
数学啓蒙活動をこの時期に集中し,数学の重要性を社会にアピールする狙いです.
この活動は,片瀬豊が小林昭七からの情報で長年にわたりウォッチングして来た米国MAM
(Maths Awareness Month:1986年4月17日のレーガン宣言により米国の国家的な行事として開始され今日に至る)
に影響されたものです.日本の数学月間をこの期間に定めたのは,山崎圭次郎の発案によるもので,
22/7≒π,22/8≒eに因みます.小林昭七によると,時期限定のMAMのほかに,
米国では数学サークルという日常活動があるそうで,これもぜひ手本したいものです.
国家的な行事の米国MAMは,数学系学協会が参加するJPBM(Joint Policy Board for Maths)が,
毎年,社会を反映した数学のテーマを選定し,この期間(毎年4月)に種々のイベントが展開され,
国民からの事後評価も受けます.皆が知りたいと思う時局の数学を.種々のレベルで学習できるウエブサイトは充実し,
エッセイや論文が集積され,そのテーマの数学を基礎から最先端まで,学生が独習できる優れたガイドになります.
MAM期間には,一般から専門家まで,小学生から大学生まで,色々なレベルのイベントが全国で展開されます.
レーガン宣言で国家的な行事MAMを決断した背景には,国民の数学力が低下し,
米国の産業力も低下するとの焦りがあったと思われますが,日本も同様な状況にあり,
国家的な行事の数学月間が望まれます.数学月間発足当時は,
片瀬豊らが中心に文科省にも働きかけを行いましたが具体的な進展はなく,
大学や研究所などの主催するそれぞれのオープンハウスや講演会などが個別に行われているのが現状です.
ボランティア・ベースの数学月間の会SGKの活動は,7月23日の数学月間懇話会の主催や,
他の団体の主催する数学祭り(とっとりサイエンスワールドなど)に協力しています.

→2018/01/02の200号に続く.良い年をお迎えください!