活断層と原発

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数学月間SGK通信 [2016.04.19] No.111
<<数学と社会の架け橋=数学月間>>
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今月14日夜に,熊本県益城町で震度7の大きな地震が起きました.マグニチュードは6.5でした.
地震規模のスケールであるマグニチュードは,リヒターの発案当時は便宜的なものでしたが,
今日では,ずれの面積と変位,地面の剛性から計算できる地震の仕事エネルギーを対数で表示したものです.
14日の地震のマグニチュードは,巨大地震ほどではないが,震源が10kmと浅いため,
局地的に地表が激しい揺れとなり大きな被害がでました.
その上,この地域はフォッサマグナ(活断層が集まっているベルト地帯)の上にあり,
次々と余震が続きます.震源もフォッサマグナに沿って熊本県や大分県由布市に移ってきました.
心配ですね.被害お見舞い申し上げます.皆様のところは大丈夫でしょうか.

阿蘇の東側から佐伯,および,阿蘇の南側には,むかし行ったことがあります.
峡谷で囲まれた台地が島のようになった地形で,交通は大変だったそうですが,豊かな芸術文化が伝承されています.
通潤橋のある山都町では人形浄瑠璃が印象に残りました.怪我や避難やたいへんな日々と思います.
応援しております.はやく落ち着きますように.

■フォッサマグナは西日本では,佐田半島から大分,由布,九重,阿蘇を通り,天草,八代海に沿って走り,
川内原発の付近に至るようです.活断層の調査は露頭でできますが,川内原発の地下を通っていても見えません.
再稼働の根拠となった九電の調査は3つの断層延長上の1つのみの結果で,規制委は不十分のまま再稼働に踏み切りました.
フォッサマグナの走る佐田半島の付け根には伊方原発が,八代海側には稼働中の川内原発があります.
すべての原発は即時廃炉を進めるべきですが,特に地震の活動期にある九州で稼働させた川内原発は停止すべきです.
原発事故でどのような責任がとれるというのでしょうか.
川内原発は発電を続けています.それなのに送電先がなく被災地に電源車41台+81台を17日までに配るという.
役立たずの原発ですね.太陽光などの地域分散型の発電システムにすべきです.

■この機会に,手元にあった第4紀地図(1987年版で古いものです)を30年ぶりに開いてみました
(実は一時期,私は地学を教えていたことがあります).参考までに地図を引用掲載しました.
伊方原発,益城町,フォッサマグナの大体の位置は,私がこの地図に書き込んだものです.
阿蘇の周りなどに見られる黒い線が活断層です.
活断層とは,第4紀後期(数十万年前)以降に何度か動いた断層で,地震の原因になる可能性があります.
第4紀は258万年前(寒冷化に向いだした)からで,人類出現の時代.
古い原人が発見されるたび,第3紀と第4紀の境は遡っていき,
258万年前は,2009年に国際地質科学連合が定義したものです.
地球が生まれた45億年前を1月1日の0時とし,現在を新年が始まる0時と例える地球カレンダーなら,
第4紀後期は大晦日の夕方以降です.ごく最近動き,まだ動きそうな断層が活断層ということになります.
活断層であるかどうかは露頭で,断層のできた時期の鑑定になります.

■この地域の乗るユーラシアプレートの下には,フィリピン海プレートがもぐり込んでいます.
地殻と上部マントルの地殻と一緒に動く部分を合わせてプレートと呼び,厚さはおよそ100kmです.
地球の半径は6,500kmですから,半径65mmのボールに例えるなら,プレートの厚さは1mmです.
プレートは,マントル対流に乗ってふわふわ動きぶっつかりもぐり込む皮みたいなもの,
その上に我々は暮らしています.

以下に,第4紀地図を掲載:
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/62/17401362/img_1_m?1460875928

http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-09-2d/tanidr/folder/572283/62/17401362/img_2_m?1460875928