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スーパーコンピュータとチャリティエンジンが解を見つける

投稿日時: 2020/10/26 システム管理者

数学パズルで有名な問題 $$ X^3 + Y^3 + Z^3 = k $$,($$ k $$はゼロ以上の整数)を解く話です。まず、$$ k $$=1から100までの個々の場合の整数解$$X, Y, Z$$を求めよというのが1954年に提示された問題です。似ている問題 $$x^2+y^2=z^2$$ を満たすピタゴラス数を求めよというのもあります。この種の方程式はディオファントス方程式とよばれ、紀元前300年のギリシャ以来研究されています。

さて、$$X^3+Y^3+Z^3=k$$ , ($$ k$$=0,・・・,100) に戻りましょう。
求める整数解$$X, Y, Z$$は正数だけとは限りませんので、問題は難問になります。

長年の研究で、$$k=4, 5, 13, 14, 22, 23, 31, 32$$の場合には解がないことがわかっています.これらを除くほとんどの$$ k $$に対して解が求まりました($$ k $$によっては解が無数に存在する場合もあります)が、$$k$$=33と42の場合の解がどうしても見つかっていません(解がないという証明もできません)でした。2019年になり、ブリストル大学のAndrew Booker教授は、スーパーコンピューターを3週間連続使用して、$$ k $$=33の場合の解を見つけました。以下のものです。

$$ (8,866,128,975,287,528)^3+(-8,778,405,442,862,239)^3+(-2,736,111,468,807,040)^3=33 $$


私(筆者)はこれが正解かどうか確認しようとしましたが、数字が大きすぎて計算もできません。$$k$$=42の場合は、もう一桁大きな数を扱わなければならないのでスーパーコンピュータといえども困難なのが理解できるでしょう。
そこで、Booker教授は、大きな数の解をチェックできる効率的なアルゴリズムを作り、MITの計算数理学者Andrew Sutherland教授の協力を得て、地球規模のコンピューティングプラットフォーム「Charity Engine」を利用した。Charity Engineには、世界規模で50万台を超える家庭用PCが接続され、各PCの空き時間を使って計算を実行するものです。Charity Engineによる100万時間を越える計算の結果、やはり2019年に次の解が得られました。

$$X = -80538738812075974$$
$$Y = 80435758145817515$$
$$Z = 12602123297335631$$

 

 


現在は,$$k$$が100~1,000までの場合の整数解を求めることに挑戦中である。
$$k$$が100~1000の間で解けていないのは10個位あるという。