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企画講演(第9回)2021.12.11 「プラズマの定義と神秘さ面白さ.集団的性質」

投稿日時: 06/20 システム管理者

佐藤浩之助(九大名誉教授,核融合科学研究所名誉教授)

プラズマは,プラズマ乳酸菌,プラズマクラスターなどの日常語に使われるほどに種々の分野に現れる.筆者も,新入社員であった昔にプラズマ・ディスプレイの開発に係わったことがある.オーロラも電離層もプラズマ.プラズマとは;①荷電粒子を含み,②全体として中性で,③粒子がランダム運動をし,④デバイ長(荷電粒子のクーロン遮蔽距離)よりも遥かに大きいサイズ;の集団の状態と定義する.物質の状態には,固体,液体,気体の3態と,それらよりエネルギーの高い第4の状態であるプラズマがある.プラズマ状態は,核融合が起こっている太陽内部のような高温・高密度なプラズマから,オーロラや電離層のような希薄なプラズマまで広範である.
電離層は,太陽からの紫外線やX線により大気が電離しプラズマ状態にあり,上空70~500kmに形成され,$${10^{4}~10^{6}/cm^{3 } }$$の荷電粒子密度(上空の層ほど荷電粒子密度が高い)で,荷電粒子が集団運動(プラズマ振動)する誘電体だ.電離層はプラズマ振動数より高い周波数の電波は通過させ,プラズマ周波数より低い電波を全反射する.従って,短波までの電波は電離層で反射されるが,超短波(10MHz以上)になると電離層を突き抜ける.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電荷$${q}$$,質量$${m}$$の粒子の,磁場$${B}$$や外力(重力や電場)$${F}$$下の運動方程式,$${m\dot{v}=q\left( v \times B \right) +F}$$を,$${B}$$方向の速度$${v_{B } }$$と$${B}$$に垂直な方向の速度$${v_{F } }$$に分け,$${v=v_{B}+v_{F } }$$として解くと,ドリフト速度$${v_{F}=(F \times B)/qB^{2 } }$$を得る.もし,外力$${F}$$が電場のみなら$${F=qE}$$であるので,電荷の正負にかかわらず,両荷電粒子は同方向にドリフトするが,外力が重力のみなら電荷の正負によりドリフト方向が逆になり,プラズマの電荷分離が起こり,生じた電場と磁場に直角方向にさらにドリフトが起こる.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



単純トロイダル磁場(トーラス状容器の外側にコイルを巻き発生)では,トーラス内に沿った円環磁場と重力に垂直な方向に電荷分離し電場が発生すると,この電場と磁場に垂直な方向にドリフトが起こる.結局,単純トロイダル磁場によるプラズマの安定な閉じ込めはできない.しかし,単純な円環磁場に捩れた磁場を加えると安定な閉じ込めが可能になる.捩れた磁場の発生方法に,トカマク方式とヘリカル方式があり,前者は,プラズマに電流を流す方法,後者はヘリカルに巻いたコイルを用いる方法である.核融合炉にはプラズマの定常的な閉じ込めが必要だが,球状トカマク方式(九大)で,7時間程度の定常閉じ込めを達成していて,将来の核融合炉の実用化が期待できる.
地球磁場は北極と南極で絞られたミラー磁場で,遠くまで伸びている地球の磁力線にとらえられた太陽風プラズマが,地球磁場に巻きつき旋回運動をしながら,北極や南極のミラー磁場で往復,地球を周回運動する.これらが極域で大気の酸素や窒素原子を励起しオーロラが見られる.