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数理資本主義の時代(経産省)

投稿日時: 2019/08/11 tanik

数理資本主義の時代(経産省)を読みました.違和感のある表題だ.数学が国富の源泉であると謳う.米国の数学統計学月間も同様な認識で,我々もGAFAを見ればそのような時代であることはわかる.しかし,ことさらに数学をそのように強調し,強者になるための道具にすることには違和感がある.高い年収が得られるので数学を職業とするでは本末転倒と言わざるを得ない.
これまで,電気電子,計測などの工学部が応用数学の研究と教育を担っていたが,コンピュータの発展により数学能力が低下したのは事実と思う.例えば,理論を何も知らずとも優れたコンピュータ・ソフトを操り,良い結果を得るのはしばしば目撃する.しかし,これからのAIやディープラーニングの飛躍には,コンピュータソフトを使いこなしてもダメで,データーサイエンスの基礎となる数学を押さえことが必要だ.確率,統計,情報理論,グラフなどの離散数学,線形代数,離散Fourier,トポロジー,必要な数学は何でも総動員する.
<日本では,技術開発の中核となる人材はもっぱら「工学」出身であり,そのためか,「数学は役に立たない」という先入観がまだ残っているようである>との問題発言が本報告書のp19にある.この表現は半分当たっているようでもあるが,正しくない.私は「数学では物は作れない」と思う.データーサイエンスもデジタル制御もコンピュータがあって始まるものだ.アナログ制御の時代を担い応用数学を発展させた工学の扱う対象は具体物や反応であるのに,データサイエンス(コンピュータを介して)の働きかける対象はいつも数値(データ)であり解析にとどまる.ただ,工学であれデーターサイエンスであれどちらも数学なので,「数学は役に立たない」とは誰も思ってはいないはずだ.