片面のみの連続平面

投稿日時: 03/11 システム管理者

これまでは,特異平面を持つ片面の離散的(点の集合)な2次元周期図形(ネットワークパターン)のみを扱いました.これらの図形の裏側は表側とは異なると仮定しているため,対称変換によって表面と裏面を入れ替えることはできません.
今回扱う2次元の連続平面(つまり通常の平面)でも,表裏の2面が互いに同様な平面で,表裏がある場合と,表だけで裏のない片面のみ(極性)の平面の場合があります.
一見すると,これらの議論はばかげており,連続な無限平面図形(あるいは空間)では,ユークリッド平面と異なる平面を考えるのは無駄であるようにも見えます.しかし,私たちは,特性(特に,対称性)が互いに異なる平面の無限集合を考えるだけでなく,実際に作ることもできます.

この目的のために,すべての実表面は,一般に異なる物理特性を持つ2つの物体を分離する境界であるという事実を受け入れる必要があります.


■もっとも理解し易く,もっとも対称的な空間は,均一(一様)なもので,2次元空間の片面のみの面では,表面を均一な一色に塗り,裏面を黒く塗った平坦な厚紙のイメージです.このような図形の任意の点は,$$∞・m$$の対称性であることは容易に確認できます.極性対称軸$$∞$$は,表面に垂直に,至る点に通っていて,垂直な無数の対称面$$m$$があります.均一な片面の平面の対称記号は,対称性$$∞・m$$の点を連続並進$$(a_{0}:a_{0})$$したものだから,$$(a_{0}:a_{0}):∞・m$$と書けます.

■同様にして,均一な片面のみの面の他の対称類は,対称性$$∞$$の点を連続並進して得られます.
この表面の点には対称面がありません.この新しい平面空間を視覚化するには,両面の色が異なるように塗られた厚紙平面のすべての点で,一方向に均一に回転するのをイメージするだけで十分です.点の回転方向には2つの可能性があるため,このような空間には,左手型と右手型の2つのエナンショモルフ(対掌体)があります.新しい平面の良いモデルは,同じ方向に回転する円盤をランダムかつ均一に分布させたものです(以下の図).円盤とそれらの間隔は十分小さく,個々の円盤を要素として分解できない観測者には,多くの要素の振る舞いの総和として効果を観測するしかありません.これは均質な理想平面でありその対称性を$$(a_{0}:a_{0}):∞$$ と記します.

 


■この片面平面の例から,対称性の低い平面に進むのは容易です.
この目的には,対称性$$n・m$$あるいは$$n$$の片面ロゼットの同価な図形の無限集合を用いるれば十分です.それらの方位を揃えて平面に配置し,図形をランダムかつ均一に分布させる.図形のサイズと間隔をゼロに漸近させると,極限で,対称性$$(a_{0}:a_{0}):n・m$$,あるいは,$$(a_{0}:a_{0}):n$$をもつ均質平面を得ます.
[訳者注)$$∞$$回転軸は,対称性の極限で存在する.対称性を低下させたn回回転軸も存在する]

もし,初めのモチーフ図形に片面長方形,あるいはひし形をとれば,対応する媒質のモデルは以下の図のようになります.この構造の個々の要素を見分けられない観測者には,任意に選んだ各点Oは,長方形の対称性2・mをもちます.なぜなら,どちらの図形も,点Oの周りの180°回転,あるいは,平面$$m_1$$,$$m_2$$による鏡映は,全体として自分の上に自分を変換するからであります.

 

連続的な片面の例をもう一つ挙げてみましょう.両面を異なる色に塗った厚紙があるとします.平面上の直線に沿って一様な動きます.外部の観察者から見ると,厚紙は静止しているが,その対称性を調べれば,厚紙に垂直で,その運動方向に平行な,互いに平行な対称面の集合が存在することはすぐにわかる.この平面には,2次元連続体に常に存在する並進軸の他には対称性の要素は存在しない.
ここで,上記の考察が適用できる物理的に実在する平面や表面について,少し述べましょう(もちろん,自然界には理想的な平面は実在しません).
滑らかな水の表面(例えば,光線を反射する能力を考慮した場合)は完全に等方性であり,明らかに対称性$$(a_{0}:a_{0}):∞・m$$を持っています.
光の偏光面を回転させることができる糖液の表面は,対称性$$(a_{0}:a_{0}):∞$$になります.
結晶の表面は,個々の原子(イオン、分子)の配置を考えるならば,不連続(離散的)な構造の平面パターンですが,その光学的,機械的性質を研究するならば,均質な平面として扱えます.
17種の対称性類が存在する(離散的な)平面パターンとは対照的に,片面平面連続体の対称類の数は非常に多い.これらの連続体の対称性記号を2列の無限列の形で以下に掲載します.

 


系列の最後の2つだけが完全に等方な平面に相当しています.他の記号は非等方の平面を記述します.記号$$(a_{0}:a_{0}):1$$はどの点も,並進軸以外にいかなる対称要素も持たない非対称平面に対応します.