対称性理論の歴史

投稿日時: 03/27 システム管理者

対称性の理論は,実際にどのように発展してきたのだろうか?
この分野の歴史を見ると,純粋に幾何学的な側面に限っても,長期間かけて,対称性の概念が大きく変化してきたことがわかる.
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結晶点群の対称要素は:対称心;2,3,4,6回対称軸;回映軸;対称面;
結晶空間群の対称要素では,これらに加えて:並進;映進面;らせん軸
があり,これらの対称要素の集合が群(結晶点群,結晶空間群)を作る.
しかし,対称変換の要素をなぜこれらに決めたのでしょうか.その発展の歴史を振り返ります.
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■ 始めは,反射(鏡映)のみを対称操作とみなした.

当初,研究者たちは幾何学的形態の対称性を,対称面による反射(鏡映)のみに限定していた.そのため,対称軸があっても鏡面がない図形は非対称とされました.また,単純回転軸を対称要素に加えたときも,回映軸を持つ図形は対称性のある図形の範疇に入りませんでした.これらの対称要素はすべて,有限図形の対称類を構築するために使用されました(Hessel, 1830; Gadolin; 1867)が,無限図形の対称性を記述するには不十分であることが判明しました.並進,らせん回転,映進の変換と,これらの操作に対応する新しい対称要素を導入する必要がありました.

■ 第2種の対称変換を対称操作から除外する流派
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図形を変形せず剛体のように,回転,鏡映する対称変換は,直交行列で表現できます.その行列式は±1ですが,+1のものを第1種,-1のものを第2種といいます.第2種は,鏡映のように座標系を裏返す変換で,3次元の空間で+1の運動を-1の運動に変換するには4次元空間が必要です.例えば,右手と左手は鏡映対称で互いに一致させることができますが,実際に3次元空間内の+1の対称操作をしても,右手を左手に一致させることはできません.
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このように対称性の概念が大幅に拡張されたことで,対称性理論から第2種の変換(対称面での鏡映,回映,映進)を除外するという正反対の傾向が生まれました. この傾向の代表者は,Jordan(1869)とSohnckです.
また,対称性の研究において,ある種の対称面,単純回転軸,有限の平行移動を排除する妥協的な試みもありました(Bravais, 1850).

■ 結晶点群と結晶空間群が完成

Fedorov (1891) と Schénflies (1891) は,最終的にすべての対称操作を統合しましたが,Jordanの無限小の運動 (並進と回転) は除外しました.このような操作は,彼らが研究対象にしている結晶の対称性と明らかに矛盾ると考えたからです.

そこで,限界対称性類にも特別な注意を払うことで,この除外されたギャップの解消をねらいます.

第1種と第2種の対称操作は,一見,非常に異なるように見えます.対称変換の概念に統合されたのだが,多くの研究者には,合同と鏡像の組み合わせがあまりにも人工的に見えるため,対称図形構築の統一原理を見出そうと注力しました.この問題に対する最も単純な解決策は Wulff(1897)とViola(1904)によって与えられました.科学の歴史ではよくあることですが,彼らは,対称面を基本的な対称要素として使うという最初のアイデアに戻ったのです.二人とも,3次元空間の有限図形のすべての対称変換は,3つ以下の平面(それらは対称面でなくても)での連続した反射(鏡映)に帰着できるということを証明しました.
WulffとViolaのアイデアを無限図形にも拡張すると,我々が認めたタイプの任意の対称変換は,最大4つの平面(それ自体は対称面である必要はない)による図形の引き続く反射に置き換えることができます(Boldyrev, 1907).

実のところ,この方法は,N.V.Belovが230の(Federov)空間群を導出したアルゴリズムに用いたものである(N.V.Belov,1951).

以下の図を参照ください:

 

 

 

 

 

 

 


●ある軸を中心に角度αだけ回転することは,その軸を通り,互いに角度α/2をなす2つの平面での引き続く反射(鏡映)に等価である.
●並進aは,距離a/2離れた平行な平面での引き続く2回の反射に等価である.
●回映は回転と反射からなり,3つの平面での引き続く反射に等価となる:2つの平面は回転軸で交差し,残りの平面は回転軸に垂直.

●映進面は,反射と並進からなり,3つの平面での引き続く反射に等価となる:2枚は平行で,3枚目は始めの2枚に垂直.
●らせん運動は,回転と並進の2つの動きに分解でき,4つの平面での引き続く反射に相当します:2枚は回転軸に沿って角度α/2で交差し,残りの2枚は互いに平行で,最初の2つの平面に直交する.

多数の反射を引続き繰り返しても,上に述べた操作 (対称面での1回反射も含む) と結果が変わらないことは,非常に簡単に示すことができます.また,平面での連続した反射によって,直線は直線に変換され,それらの間の角度と,直線上に記された目盛りの長さが保存されることも容易に納得できるだろう.

これは,上記のすべての変換において,図形はあたかも変形しない剛体であるかのように自分自身に変換されることを意味します.このような性質を持つ変換をアイソメトリック等長変換と呼びます.
等長変換に注目すると,次のようなシンプルで網羅的な定義を,3次元空間における幾何学的図形の対称性について与えることができます.
「対称的」とは,平面による1回または数回の連続した反射によって,それ自身と重ねることができるすべての(有限または無限)図形に適用される状態です.

特定の物体が,特定の対称性を顕わすか顕わさないかは,選択した特性によることで,内部構造にも関係があります.その意味では,対称性の定義には,外部と内部という2つの構造レベルの視点が残されます.